1ドル=200円の超円安で預金がおろせなくなる?【報道1930】
注目すべきは、91年以降、日本の産業競争力低下によって均衡相場が円安方向に反落したにも関わらず、市場相場は円高傾向を続けたことである。2011年に市場相場は1ドル=80円まで円高となり、今度は逆に均衡相場(1ドル=188円)との乖離率はプラス58%(プラスは円の過大評価)に達した。
米スタンフォード大学のマッキノン・大野両氏は、1971年以降の円高を米国の通商圧力とそれに迎合した日銀の引き締め気味の金融政策が醸成した市場の円高期待によって引き起こされた「円高シンドローム」と呼んだが、日米の生産性に基づく円相場分析は、それと極めて整合的である。すなわち、71年のニクソン・ショックと85年のプラザ合意は、確かに、戦後の円の過小評価を是正する政策として正当化できるが、87年のルーブル合意以降、現在に至る円高は、「円高シンドローム」が生んだ円高オーバーシュート以外の何物でもない。このように大幅かつ長期的な円の過大評価が継続すれば、わが国が「暗黒の30年」と呼ばれる長期デフレに陥るのは当然である。
この結果、導入された変動相場制によって、円相場は、1978年に1ドル=210円まで上昇し、乖離率はマイナス21%まで縮小する。その後、ドル安政策はインフレ対策のためのドル高転換により中断されるが、米国は85年のプラザ合意を契機にドル安政策に回帰することになる。興味深いことに、市場相場は86年にほぼ均衡水準である1ドル=168円までの円高となり、翌年のルーブル合意では政策協調によるドルの現状維持がうたわれる。しかし、その後も、米国のドル安圧力は止むことがなく、市場相場は現在まで一貫して均衡相場より円高水準で推移し、円の過大評価が常態化する。
200 米ドルから日本円への為替レート。USD/JPYの両替
1995年に米クリントン政権は、為替政策のドル高転換を図る。しかし、その後も為替市場は、米国の通商圧力による円高の亡霊に怯え続けた。2010年代に入り、わが国の貿易・サービス収支が継続的な赤字を示すようになり、また、日銀が量的・質的緩和を導入したことで、為替市場はようやく「円高シンドローム」から解放され、行き過ぎた円高の是正に動き始めたのである。その結果、市場相場が今年7月に1ドル=162円近くまで円安になった。とはいえ、今なお均衡相場は1ドル=188円にあり、円相場は依然として15%も過大評価された水準にある。これが、日銀が非伝統的な金融緩和を継続しているのにもかかわらず、わが国のインフレが他の先進国に比べて抑制されている主因である。
米国によるドル安政策の歴史に本当に終止符が打たれたとすれば、円相場が適正水準である1ドル=188円を超えて円安となる可能性も皆無とはいえない。特に、極東の安全保障情勢は、ロシアによるクリミア侵攻以降の世界の分断と多極化によって、1980年代以前の米ソ冷戦時代に逆戻りしつつある。ロシアのプーチン大統領による6月の訪朝によって、ロシアと北朝鮮の関係も、61年に旧ソ連と北朝鮮が締結した事実上の「軍事同盟」に回帰した。今後、日本を取り巻く軍事情勢が著しく不安定化した場合、円相場が均衡水準を超えて、1ドル=200円以上の円安となる可能性を完全に否定することはできまい。筆者は、最近の円安の一因が日本を巡る地政学的リスクの高まりにあるとみている。
円相場の適正水準である1ドル=188円への道を止めるものがあるとすれば、それはやはり「もしトラ」であろう。
中国は、すでに24年3月の全国人民代表大会(全人代)で、経済政策目標を内需から輸出に転換し、それ以降、輸出振興のために緩やかな人民元安誘導を実施していると言われている。自国産業保護を繰り返し唱えるトランプ氏が返り咲けば、1995年にクリントン大統領(当時)が採用したドル高政策を転換し、ニクソン・ショック以降ほぼ一貫して行ってきた伝統的なドル安政策に回帰して対抗する可能性が高い。このことは、米国によるドル安政策の歴史はいまだ終わっていなかったことを意味する。トランプ氏は、政権1期において自らを「関税の男(Tariff Man)」と呼んだが、政権2期においては、「通貨切り下げの男(Devaluation Man)」に改名することになるかもしれない。この場合、円相場は1ドル=115円まで上昇する公算が高い(をご参照)。
【1ドル200円も。超円安の悪夢】当面はレンジ相場/5万 ..
ところが、その後の日本の産業競争力の向上によって、均衡相場が70年に1ドル=170円までの円高となり、市場相場との乖離率がマイナス111%まで拡大してしまう。固定相場制の維持が困難となった米国は、翌年10%の輸入課徴金をカードにドルの切り下げを各国に迫った。ニクソン・ショックによる戦後の米国ドル安政策の歴史の始まりである。
1ドル=150円突破迫り介入警戒感が浮上、200日線超えで円安加速も
やまもと・まさふみ/中央銀行や内外金融機関での勤務経験を基に、グローバルな視点から為替市場を分析・予測する。日銀で外為市場介入取引、為替市場調査、欧州経済・金融市場調査などに従事した後、セルサイドに転出。バークレイズ銀行など外資系金融機関のチーフFXストラテジスト、外為市場リサーチを行う投資助言代理業の代表取締役、マネックス証券でシニアストラテジストを務めた。15年11月より現職。95年国際基督教大学卒業。
外国為替市場で円安が進行し、1ドル=150円突破が迫っていることで円買い介入への警戒感が高まり始めている。
やまもと・まさふみ/中央銀行や内外金融機関での勤務経験を基に、グローバルな視点から為替市場を分析・予測する。日銀で外為市場介入取引、為替市場調査、欧州経済・金融市場調査などに従事した後、セルサイドに転出。バークレイズ銀行など外資系金融機関のチーフFXストラテジスト、外為市場リサーチを行う投資助言代理業の代表取締役、マネックス証券でシニアストラテジストを務めた。15年11月より現職。95年国際基督教大学卒業。
米国はドル高を希望、日本の貧困化を進めた円高対応を終えるチャンスが来た
ドル/円は、二〇二二年一〇月、一ドル=一五〇円台を付けた。直前の為替介入をものともせず、円安が進行している。しばらくして一ドル=一六〇円を突破したら、次は一気に二〇〇円、三〇〇円と暴落して行くことだろう。将来、このように円安が進めば、あなたの日本円の資産は大きく目減りしてしまう。最後には、国家破産によって紙キレ(その時は一ドル=一〇〇〇円に)と化してしまうだろう。この先、円だけに固執して外貨を持たなかった者は、地獄を見ることになる。本書を熟読して手を打ち、老後資金を守り抜いてほしい。
どうなる円安!! 恐怖の近未来シミュレーション もし「1ドル200円」になったら俺たちの生活に何が起こる!?
いったいいくらまで円安になるのか。長期的には1ドル=200円というおそろしい水準を予想するのが、経済ジャーナリストの磯山友幸氏だ。
【クレジット市場】円は「奈落の底」へ、財政危機露呈で200円-藤巻氏
一方、市場相場(青線)は1955年時点で1ドル=360円で、均衡相場に比べ大幅な円安水準にあった。これは、戦後、連合国軍総司令部(GHQ)のドッジ経済顧問(当時)が日本経済の復興を促進するために、円相場を意図的に円安水準に設定したためである。55年の市場相場の均衡相場に対する乖離率はマイナス44%(マイナスは円の過小評価)となっていた(図表2)。
1ドル200円に備えよ。“仕組まれた”円安で国民の生活水準は大幅低下
プロローグ 円安が進むと、あなたの資産はどんどん目減りする
第1章 いよいよ止まらなくなった円安。もはやこれは「通貨危機」だ!
第2章 チャートから見たドル/円は、三〇〇円以上を暗示している
第3章 円安のすべての原因は「日銀」。金利を上げたくても上げられない状況に。その根底には「国の借金」が
第4章 日本は、発展途上国に転落。一ドル=二〇〇円を超えたら輸入インフレで金利は六%に上昇、大混乱に。
第5章 一ドル=二〇〇円時代を生き残るための秘策
エピローグ この国の将来を考えるために
ドル円同様に日銀トップのハト派姿勢が支えとなり、また200円超高で前 ..
日本銀行による追加利上げ期待や国債買い入れの「相応の規模」の減額見通しにもかかわらず、ドル円は一時159円台に乗せ、じり高の動きとなっている。こうした動きを見てか、ドル円は今後さらに上昇し、いずれ1ドル200円に達するといった見方もある。
円ユーロドル:1.0393ドル - 1.0409ドルユーロ円:163.32円 - 163.77円
「仮に第5次中東戦争が始まれば、為替に大きな影響があります。これまでは『有事の円買い』と言われ、戦争などが起こると円高になるのが通例でした。しかし今後は一時的に円高に振れたとしても、世界のマネーの多くはドルに向かうでしょう。
1ドル=200円の超円安で預金がおろせなくなる?【報道1930】 ..
『有事のドル買い』で、むしろ円はさらに安くなる可能性がある。1ドル=150円を越えて、160円台、170円台の円安に進むことも念頭に置いたほうがいい」(法政大学教授の小黒一正氏)
ドル レート | ドル 円 換算 | 200 ドル 円 | USD JPY | IFCM ジャパン
ドル/円は、二〇二二年一〇月、一ドル=一五〇円台を付けた。直前の為替介入をものともせず、円安が進行している。しばらくして一ドル=一六〇円を突破したら、次は一気に二〇〇円、三〇〇円と暴落して行くことだろう。将来、このように円安が進めば、あなたの日本円の資産は大きく目減りしてしまう。最後には、国家破産によって紙キレ(その時は一ドル=一〇〇〇円に)と化してしまうだろう。この先、円だけに固執して外貨を持たなかった者は、地獄を見ることになる。本書を熟読して手を打ち、老後資金を守り抜いてほしい。
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1955年に1ドル=251円であった均衡相場(赤線)は、わが国の生産性上昇が米国のそれを凌駕したため、91年には1ドル=158円までの円高となった。日本の産業競争力の向上が、円相場の適正水準を押し上げことになる。しかし、それ以降は、米国の生産性上昇率が日本のそれを上回ったことから均衡相場は反転し、2019年には1ドル=188円の円安水準へ逆戻りしている。すなわち、日本の産業競争力は1991年以降、一貫して緩やかな低下傾向をたどっていたのである。