りんご1個が日本で100円, 米国で1ドルであれば、購買力平価は1ドル=100円


現在の円安が行き過ぎているから、ドルで稼ぐ国々の人にとっては、日本円で買い物をするのが超割安になっている。逆に、私たちが日本円を外貨に替えて海外旅行をすると、極端に割高に思える。円の購買力が低下している分、ドル表示の財サービスを購入するときに割高感を感じるからだ。


日本の為替レートは、購買力平価対比で約4割も割安になっている。購買力平価は2024年1-3月に1ドル93.7円と、実際の平均為替レートよりも約4割安くなっているためである。これは、日本の物価が同様に約4割も割安ということでもある。2020年以降のコロナ禍でこの割安状態が急速に進み、日本の輸入物価を押し上げる作用をもたらしている。

筆者はこの実感を何とか「見える化」できないかと考えて、日本の物価の割安指数を作ってみた(図表1)。実際のドル円レートと購買力平価(PPP)のギャップを計算したものがそれである。結論を先取りすると、OECDが計算した購買力平価(2022年)が1ドル94.6円である。それを2024年1~3月まで延長して直近の購買力平価を試算すると1ドル93.7円であった。実際のドル円レート(平均148.5円)と比較すると、ドルと円の相対比率は93.7円÷148.5円×100=63%=▲37%も割安という計算になる。ざっくり言えば、日本人の購買力は約4割も低くなっているということだ。

ドル円相場が購買力平価からかい離する事象は過去も生じていたが、短期的でありその後反転して

過去2年について言えば、海外の強烈な物価上昇を背景として「相対的に物価上昇率に劣る日本の円の購買力が高まっている」という計算になるため、PPPが示唆する水準はとりわけ円高へ傾いてしまったという実情もある。

逆の見方をすれば、訪日外国人の購買力は約1.6倍(1.59倍)ほどリッチになっていることになる。日本円よりもドルの購買力が1.6倍に増価しているという意味だ。1990年代半ばの米財務長官は、「強いドルは国益」と連呼していた。弱い通貨は国家的な損失につながるという意味にも聞こえる。

1 本稿では、為替相場の「水準」に関する「絶対的購買力平価」に焦点を当てる。一方PPPには「相対的購買力平価」という仮説もあり、これを前提にすると二国間のインフレ率格差は為替相場の変化率と一致する。Rogoff(1996)は名目為替レートとPPPの乖離(=実質為替レートの均衡からの乖離)は3~5年の期間で半減すると指摘している。

この「どこまで戻るか」という点について、「山が高かった分、谷も相当深いのではないか」という恐怖感を抱く向きはかなり多いと思われる。その根拠として、購買力平価(PPP)が持ち出されるケースが多く、今後、色々なところで取り上げられることも増えてくるだろう。


d 購買力平価説によると、日本の物価の上昇は円安の要因になる。 〔解答群〕

仮に日本の経済構造や製造業の生産性が、先進国よりも新興国グループに近づいている場合、PPPよりも円安な市場実勢レートが維持される可能性が高い。実際、経済力の低下と通貨安に苦しんだ先進国の例として、1970年代半ばのイギリス経済を挙げることができる。国際競争力の低下やスタグフレーション、財政収支の悪化等(所謂「英国病」)を背景に、同時期の対ドル英ポンド相場はPPP対比で3割方通貨安の水準で推移していた。現在の日本においては、例えばスイスのビジネススクールIMDが公表している2023年の国際競争力ランキングを見ると、日本は35位と韓国(同、28位)や中国(21位)を下回るなど、日本経済の競争力低下が垣間見られる。

購買力平価(Purchasing Power Parity: PPP)というのは,自国 ..

平気で「おせち料理」を買う人が背負う“健康リスク”とは?管理栄養士が解説する「添加物より危険なモノ」

自国の物価水準が相対的に上昇すれば,自国の通貨(例えば円)の購買力は低下する(円安)。

購買力平価は、現在から約100年前(1921年)にスウェーデンの経済学者グスタフ・カッセル(1866~1945年)によって提唱されたものだ。日米物価の格差が為替レートを決定するという考え方である。日本の物価に対して、米国の物価が上昇するとき、一物一価が成立していれば、米国では日本から安い財を輸入した方が有利になる。日本からみれば、輸出が増えて輸入が減るから、貿易収支は黒字方向に向かう。貿易取引を通じて円買い・ドル売りが生じるから、円高ドル安になるということだ。貿易収支が日米物価の格差に反応して動き、それが為替レートを調整するという考え方になる。

購買力平価説 深尾光洋の金融経済を読み解く 日本経済研究センター

平気で「おせち料理」を買う人が背負う“健康リスク”とは?管理栄養士が解説する「添加物より危険なモノ」

ドル円レートは、短期的には購買力平価が示唆する水準からは乖離をみせるものの、

実際に、日米物価はコロナ禍が本格的に始まった2020年からしばらくして、米国物価の相対的な上昇へと向かった。購買力平価が正しければ、日本から米国への輸出が増加して、2020~2024年にかけて貿易黒字が増えて円高になるはずだった。ところが、そうはならずに2022年頃から円安傾向が強まった。

ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価 | 養田功一郎

平気で「おせち料理」を買う人が背負う“健康リスク”とは?管理栄養士が解説する「添加物より危険なモノ」

円安、「購買力平価ライン」突破か アジア景気に冷や水も 中元大輔

為替レートは金利差、貿易・経常収支、潜在的な経済力などの多様な要因によって変動するが、長期的な為替レートの水準を考える際には「購買力平価(PPP: Purchasing Power Parity)」を参照することが一般的だ。PPPとは「為替レートは異なる通貨の購買力が等しくなるように決定される」との考えであり、「一物一価」が成り立つことを前提とする1。ドル円を巡っては、足下の市場実勢レートが1ドル147円前後で推移する一方、OECDが算出するPPPは2022年時点で97.6円となるなど、実勢レートがPPPよりも3割強円安方向で推移している。

購買力平価(PPP) | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas

この間、購買力平価と実際のドル円レートは著しいギャップが生じたままである。この場合の解釈は、「日本の物価が割安にも拘わらず、輸出が増えていない」ということである。単純明快に言えば、日本は価格競争力を生かせていないということだ。そこでは、日本の輸出製品の非価格競争力が低下しているようにも見える。日本が日米物価の格差をチャンスに変えられない点は、本当にもどかしい。

なぜ日本は米国よりも一人当たり購買力平価GDPの順位を下げるのか

確かに、購買力平価に照らしたドル円相場の実勢水準は歴史的に見ても異質な乖離を見せている。ここからの円高圧力を心配する声もわからないでもない。

[PDF] ドル円相場の現状評価と展望 ~購買力平価との比較から~

次に、このことを数値例を使って示してみたい。まず、1ドルが100円だったボールペンがあったとしよう。それが、米国側の10%の相対的物価上昇によって、1.1ドルになったとする。購買力平価は、1.1ドル=100円に調整される。交換レートは、1ドル=90.9円(=100円÷1.1ドル)に変わる。しかし、実際には円安ドル高で1ドルの価値が1.2倍に増価して、1ドル=120円になったとしよう。本来は米国の相対的物価上昇を加味して購買力平価1ドル90.9円で取引すべきものが、実際には1ドル120円になっているから、日本の輸入物価は1.32倍(=120円÷90.9円)も高くなってしまう。日本円は75.8%(=90.9円÷120円)に割安になっている状態だ。だから、日本円の購買力の低下によって、日本人は米国製ボールペンを1.32倍も高く購入せざるを得なくなる図式になる。

円高?円安?10月の購買力平価(2024-10-04) | 銀行関連ニュース

ドル円相場の購買力平価(PPP)がいずれの物価基準に照らしても「過剰な円安」という状況にあるため、「円高への揺り戻しを心配しなくてもよいのか」という照会は断続的に受ける。

購買力平価とは米ドルの購買力が、日本でも等しい購買力水準になるように為替レートが決定されるという考え方です。

改めて整理すると、仮に、為替レートが購買力平価の水準に一致していれば、1ドル90.9円の為替レートで、米国製ボールペンを1本90.9円で買えるはずだ。しかし、実際の為替レートは1ドル120円になってしまった。実際の為替レートと購買力平価にギャップがあり、日本円の購買力が実質的に割安になっている。これが「安い日本」の実体とも言える。

コラム:購買力平価で読み解くドル100円台「次の節目」=唐鎌大輔氏

購買力平価が円高になったのは、日本の物価上昇率が、諸外国の物価上昇率より低いからだ。日本の物価上昇率が諸外国のそれより低ければ、為替レートが円高にならない限り、一物一価を維持することができないためである。