円安 利益にマイナスが6割 適正レートは110~120円台 ..


今年3月に日銀はマイナス金利を解除し、量的・質的金融緩和政策を終了しましたが、金融市場に過度の影響を与えないよう、国債買入れオペはそれまでと同様の規模で継続する方針を決定していました。しかし、その買入れ方針にはやや幅が設けられていたため、その範囲内で国債購入額を減らしたのです。これを受けて5月13日に、10年国債利回りは4月末よりも0.07%高い0.94%へ、2年国債利回りも同じく0.04%高い0.33%へ上昇しました。


しかし、ドル円レートが急変動したゴールデンウイーク期間後に、植田日銀総裁の発言に変化が出てきました。5月8日に植田総裁は「過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは意識しておく必要がある」と発言し、円安で物価が上振れれば金融緩和縮小の可能性を示唆しました。その後、5月13日には冒頭に記載したように、日銀は国債買入れオペを減額しました。

日銀の姿勢が変化してきたことで、日本の金利が上昇し、日米金利差がやや縮小しましたが、図1にあるように、そもそも5月13日時点の日米金利差は10年国債利回りで3.5%程度、2年国債利回りで4.5%程度と、大幅に開いているため、日本の金利の小幅な動きではこの金利差に与える影響は軽微です。実際、ドル円レートも一瞬は円高に振れたものの、すぐに円安傾向へ戻ってしまいました。

第57回「日米金利差とドル円レート」 知るほどなるほどマーケット

上場企業決算は、円安を追い風に、2024年3月期で過去最高益を更新する企業が相次いだ。しかし、円安による輸入品の価格上昇が物価高を長引かせ、個人消費は低迷が続く。

しかし、ドル円レートは2023年の年平均がほぼ140円、2024年は5月13日までの平均がほぼ150円と、円安による輸入物価の上昇圧力は高まっています。5月8日に植田総裁は「急速かつ一方的な円安、日本経済にマイナスであり望ましくない」と発言し、それまで為替レートへの直接的な評価を避けていた姿勢を変化させました。

金利差に影響を与える日銀・FRBの行動の起点は、日米のインフレ動向にあり、ドル円レートはインフレ・データの公表時に大きく動く状況がしばらく続くのではないでしょうか。

来週の円相場は下落しそうだ。米国の金利上昇とドル高の流れが続きやすい。一方、日本銀行の植田和男総裁が18日の講演で12月の金融政策決定会合での利上げに向けて踏み込んだ発言をした場合、円が買い戻される可能性がある。


円安進行、6割超が「利益にマイナス」―帝国データ調査 : 5割の企業が「適正レートは110-120円台」 ..

自社にとって適正な為替レートについて聞いたところ、「120円以上~130円未満」が 28.9%で最も多く、「110円以上~120円未満」21.2%が続いた。半数の企業が「1ドル=110円~120円台」を適正な水準と考えており、足元の1ドル=150円台とは大幅なかい離がある。

中小企業、5割超が円安で悪影響 適正為替「135円未満」(共同通信)

円相場は、7月初めに1ドル=162円台に迫り、37年半ぶりの水準まで下落した。最近、円安を日本経済の実力低下の反映とみる論調も目立ってきた。しかし、筆者による日米の生産性に基づく円相場分析では、円は依然として高過ぎる。日米の生産性を基に算出すれば、適正水準は1ドル=188円となる。

(2)購買力平価から見ると、ドル円為替レートの適正水準は当面1ドル110-120円

一国の生産性は、その国の産業競争力の源泉である。生産性とは、時間当たりの生産量であるから、例えば、ある商品を1時間に100個生産できる国と、200個生産できる国では、生産性の高い後者の方が産業競争力を有することを意味する。そして、相対的に産業競争力の高い国の通貨は、弱い国の通貨に対して上昇するはずである。そこで、日米の生産性をもとに円相場の適正水準(フェアバリュー、均衡相場)を算出した(図表1、生産性指標はフローニンゲン大学とカリフォルニア大学による)。

為替レートはどう決まる?金利平価説と購買力平価説 | みずほ証券

1955年に1ドル=251円であった均衡相場(赤線)は、わが国の生産性上昇が米国のそれを凌駕したため、91年には1ドル=158円までの円高となった。日本の産業競争力の向上が、円相場の適正水準を押し上げことになる。しかし、それ以降は、米国の生産性上昇率が日本のそれを上回ったことから均衡相場は反転し、2019年には1ドル=188円の円安水準へ逆戻りしている。すなわち、日本の産業競争力は1991年以降、一貫して緩やかな低下傾向をたどっていたのである。

為替 適正レートは1ドル 円!? 「円」がここまで安い原因は?

もちろん2004年以降も、ドル円レートが日米金利差から離れて動く局面はありました。そのため、最近の「34年ぶりの円安」などと言われる大幅円安には、金利差以外の要因も影響していると思われますが、図1に示した矢印のように、日米金利差とドル円レートの動きはかなり類似しています。日本円のような超低金利の通貨で運用しても利子はほとんど得られませんが、米国ドルのような比較的高い金利の通貨で運用する方が多くの利子を得られるので、通貨の魅力度では「ドル>円」となるのはよく知られています。

ドル円の適正水準はどこ? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

ところが、その後の日本の産業競争力の向上によって、均衡相場が70年に1ドル=170円までの円高となり、市場相場との乖離率がマイナス111%まで拡大してしまう。固定相場制の維持が困難となった米国は、翌年10%の輸入課徴金をカードにドルの切り下げを各国に迫った。ニクソン・ショックによる戦後の米国ドル安政策の歴史の始まりである

適正な為替レートを示す指標として使用されている。 2024年1月の時点で ..

この結果、導入された変動相場制によって、円相場は、1978年に1ドル=210円まで上昇し、乖離率はマイナス21%まで縮小する。その後、ドル安政策はインフレ対策のためのドル高転換により中断されるが、米国は85年のプラザ合意を契機にドル安政策に回帰することになる。興味深いことに、市場相場は86年にほぼ均衡水準である1ドル=168円までの円高となり、翌年のルーブル合意では政策協調によるドルの現状維持がうたわれる。しかし、その後も、米国のドル安圧力は止むことがなく、市場相場は現在まで一貫して均衡相場より円高水準で推移し、円の過大評価が常態化する。

ドル円相場、下半期大荒れ 1%超の騰落続出 2025年の見通しは?

米スタンフォード大学のマッキノン・大野両氏は、1971年以降の円高を米国の通商圧力とそれに迎合した日銀の引き締め気味の金融政策が醸成した市場の円高期待によって引き起こされた「円高シンドローム」と呼んだが、日米の生産性に基づく円相場分析は、それと極めて整合的である。すなわち、71年のニクソン・ショックと85年のプラザ合意は、確かに、戦後の円の過小評価を是正する政策として正当化できるが、87年のルーブル合意以降、現在に至る円高は、「円高シンドローム」が生んだ円高オーバーシュート以外の何物でもない。このように大幅かつ長期的な円の過大評価が継続すれば、わが国が「暗黒の30年」と呼ばれる長期デフレに陥るのは当然である。

ドル円 160円突破AIは今後のドル円相場をどう予測するのか

現時点の為替レートは歴史的な円安だと言われる。通常、それは150円という市場為替レートの水準を過去の水準と比較することによって言われる。しかし、1980年代の市場レートは、150円よりずっと円安だった。いまがなぜ「歴史的な円安」なのかを理解するには、購買力平価と比較することが必要だ。

為替レートの水準はどう決まる? なぜ、1米ドル=155円なのか

1995年に米クリントン政権は、為替政策のドル高転換を図る。しかし、その後も為替市場は、米国の通商圧力による円高の亡霊に怯え続けた。2010年代に入り、わが国の貿易・サービス収支が継続的な赤字を示すようになり、また、日銀が量的・質的緩和を導入したことで、為替市場はようやく「円高シンドローム」から解放され、行き過ぎた円高の是正に動き始めたのである。その結果、市場相場が今年7月に1ドル=162円近くまで円安になった。とはいえ、今なお均衡相場は1ドル=188円にあり、円相場は依然として15%も過大評価された水準にある。これが、日銀が非伝統的な金融緩和を継続しているのにもかかわらず、わが国のインフレが他の先進国に比べて抑制されている主因である。

[PDF] Quarterly Market Outlook

第一は、「実質実効為替レート指数」だ。この指標は、BIS (国際決済銀行)が計算している。2020年 を基準年にし、それ以外の時点の購買力が基準時点と比べてどの程度の水準にあるかを示す。このため、「相対的購買力平価」と呼ばれる。

円高、円安がわかる!為替相場のしくみと影響 | G.金融経済を学ぶ

しかし、これをピークとして、それ以降、日本円の実質実効為替レートは傾向的に下落した。2010年の円高期に1時回復したが、2013年の大規模金融緩和で急速に下落し、100程度の値になった。そして、2021年以降、さらに下落した。