[PDF] 慢性心不全治療薬としての SGLT-2 阻害薬について
そんなSGLT2阻害薬に心不全を改善する心保護作用があるということが、近年、言われてきています。当院でも心不全の患者様に対し、SGLT2阻害薬を使用する機会が増えました。
慢性心不全患者さんを対象に、ジャディアンス錠10mgを標準治療に追加したときの結果は次表の通りです。(投与期間の中央値:ジャディアンス群で1.19年、プラセボ群で1.17年)
2型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病の3つの適応症を有するジャディアンスとは?
SGLT-2 阻害薬のフォシーガ錠が 2020 年に慢性心不全の効能が追加承認され、翌年にジ
SGLT2の中では、ジャディアンスとフォシーガの2剤が慢性心不全に適応をもっています。
2015年に発表されたEMPA-REG OUTCOME試験では、心筋梗塞や脳卒中の既往のある2型糖尿病患者に対して、既存の治療薬にSGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンを併用することにより総死亡を32%、心血管疾患による死亡を38%、および心不全による入院を35%、低下させることができたという報告でした。これらのリスク低減効果は種類により差はありますが、他のSGLT2阻害薬でも認められています。
現在、心不全の治療薬として承認されているSGLT2阻害薬はエンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス®)とダパグリフロジン(商品名:フォシーガ®)の2種類です。当院でも心不全に対し、SGLT2阻害薬を投与している患者様が増えています。
ジャディアンスはSGLT2(エスジーエルティー・ツー)阻害薬に分類されるお薬で、2型糖尿病と慢性心不全に使えます。
[PDF] 心不全患者における SGLT2 阻害薬の安全性に関する調査 研究
矢島:われわれが日本、英国、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの6カ国で約77万人の2型糖尿病患者を対象に行ったリアルワールド研究では、2型糖尿病患者が最初に発症する心血管・腎疾患は慢性腎臓病が最多で、次に心不全が多いことがわかりました。心機能や腎機能を悪化させないため、糖尿病を早期に治療することは非常に重要です。そこはSGLT2阻害薬がすごく役に立てるところですし、心不全や慢性腎臓病を発症した患者についても、心腎連関を意識しながらトータルでケアすることができる。フォシーガは、早期の段階から心不全や腎臓病を発症する後期の段階まで、幅広く患者の役に立てる薬剤として成長させていきたいと思っています。
心不全にも使える糖尿病治療薬 ジャディアンスは2型糖尿病と慢性心不全 ..
ジャディアンス(一般名;エンパグリフロジン)は主に2型糖尿病の治療薬として用いられてきました。ジャディアンス錠の適応には慢性心不全もありますが、2024年2月9日に効能・効果として慢性腎臓病が追加されたことにより、適応症が3つとなりました。
慢性心不全、慢性腎臓病の3つの適応症を有するジャディアンスとは?
ジャディアンスは、SGLT2(ナトリウム-グルコース共輸送体2)阻害薬です。糖尿病治療薬として開発された同薬ですが、2021年に慢性心不全に対する効能・効果の追加承認を取得しています。さらに、冒頭でもご紹介したように、2024年2月9日付で慢性腎臓病に対する効能・効果の追加承認を取得しました。
心不全に対するSGLT2阻害薬の使い方についてまとめてみた 2023.12
緒方:アストラゼネカにとって、循環器・腎・代謝という領域は重要な位置付けで、グローバルで見ても成長ドライバーになっています。互いに密接に関連している疾患だということを踏まえて、主に代謝、心不全、慢性腎臓病、この辺りの薬剤をしっかりと提供することで、疾患の進展抑制、臓器保護、予後改善を目指すという考えでポートフォリオを組んでいます。
エンパグリフロジン(ジャディアンスR)は、心不全患者さんにおける心臓や血管に関連する病気による死亡や入院のリスクを20~30%減らします。
さらに、ジャディアンスには利尿作用もあることから体の不要な水分を排出し、血圧を低下させる効果も期待されています。この点から、慢性心不全の患者さまにおいても使用される場合がある薬です。実際、糖尿病を有しているか否かに関わらず、心不全患者さまにジャディアスを投与することで、心臓病による死亡率や心不全による入院リスクを低下させることが報告されています。
ジャディアンス®錠10mg・25mg; SGLT2阻害薬による心不全治療における患者 ..
ジャディアンスの投薬対象者は、主に2型糖尿病の患者さまであり、食事療法や運動療法だけでは血糖コントロールが不十分な場合に使用されます。さらに、慢性心不全や慢性腎臓病を持つ患者さまにおいても、その治療の一環として処方される場合があります。
[PDF] SGLT2阻害薬が心不全での適応追加になりました! 薬剤師大谷
矢島:腎不全の患者は、心臓が悪くなればなるほど心血管死や腎不全による死亡が増えるし、逆に心不全が悪くなれば腎臓も悪くなるので、これらは1つの疾患群と捉えていいと思うんです。フォシーガはそれらに対して総合的に効果を示せるようなので、臨床現場で有用に使っていただけるのではないかと期待しています。
CKD患者は心不全を合併していることも少なくなく,Sglt2阻害薬は心不
前述したとおり、ジャディアンスは2型糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病の3つの疾患の患者さまが対象です。しかし、末期腎不全や透析を受けている方では、同薬による腎保護の作用が十分に得られない可能性があり、投薬対象とならない場合があります。
[PDF] ジャディアンス錠 10mg 適正使用のお願い (慢性心不全※)
また、ジャディアンスは2型糖尿病に適応のある薬剤であり、1型糖尿病の方は使用できません。なお、慢性心不全や慢性腎臓病を有する1型糖尿病の患者さまが同薬を使用した場合、ケトアシドーシスの発生に注意が必要です。
心不全にエンパグリフロジン(ジャディアンスR)は効果がありますか? 薬 : ダパグリフロジン(フォシーガR)について
緒方:アンメットニーズのある領域に対し、既存薬とはまったく作用機序の異なる治療選択肢を提供できるという点で、大変意義のある適応拡大だと思っています。P3試験の結果を見ると、糖尿病の有無に関わらず、どの心不全治療薬と併用してもきちんと有効性を示していますので、多くの患者さんに使っていただける薬剤です。循環器の医師からの反響も大きく、「ぜひ使いたい」という言葉をたくさんいただいています。
糖尿病・慢性心不全治療薬 エンパグリフロジン(ジャディアンス)
β遮断薬は心臓の交感神経を抑え、心臓への過剰な刺激を抑制します。心臓を休めて負荷を軽減し、心機能の維持・改善に働きます。「目に見えない治療」の代表です。心不全治療のキードラッグと言ってもいいですが、容量を増やしすぎると心拍出量が下がって低拍出症候群という非常に危険な状態となるため、患者さまに適した容量を見極めがとても重要です。代表的な薬剤としてカルベジロール、ビソプロロールがあります。
糖尿病・慢性心不全治療薬 エンパグリフロジン(ジャディアンス) ..
また、今年「CREDENCE試験(これもカナグルという薬)」という論文が発表されました。
これはSGLT2阻害剤の腎臓への保護作用についてエビデンスを出したものです。
この試験では、すでに腎機能がある程度低下した患者さんも含む対象で、SGLT2阻害剤を内服した群では腎不全や腎臓死などのイベントを、偽薬群に比べて30%減少させています。
ある程度腎臓を守る働きは予想されていましたが、それがはっきりと示されたのは今回が初めてです。
おそらく、この腎臓保護作用もSGLT2阻害剤が共通して有するものだろうと考えられます。
SGLT2阻害剤のデメリットも挙げておきましょう。
当初危惧された膀胱炎、尿路感染症は必ずしも増加しなかったものの、女性では性器感染症が増加しやすい、ということです。
それから、筋肉量の少ないやせた方には、たとえ心不全傾向でも使用しにくい、といったことでしょうか。